畳工房マルヤマ(株)
代表取締役 丸山幸一
長野市生まれ 55歳
「明日からどうしよう」- 火事で全てを失った畳職人が、全国の仲間に支えられて気づいた本当の宝物
平成30年4月1日の朝、工場から上がった炎が家も工場も全てを飲み込みました。
呆然と立ち尽くす私の頭に浮かんだのは「明日からどうしよう」という絶望的な言葉でした。
しかし、その1ヶ月後。全国の畳屋仲間からの温かい支援により、私たちは奇跡の復活を遂げることができました。あの火事が教えてくれたのは、失うものの大きさではなく、支えてくれる人々の存在という、何にも代えがたい宝物でした。
現在、私は長野県長野市で畳工房マルヤマ株式会社の代表取締役として、畳・襖・障子・網戸の張替えを手がけています。創業60年、二代にわたって受け継がれてきた技術と、火事を乗り越えた経験から学んだ「人とのつながりの大切さ」を胸に、お客様に本当の価値を伝える畳屋として歩み続けています。
中学生の私を変えた、父との産地巡り
1971年、長野県長野市に生まれた私。家業として父と母が営む畳店で育ちました。子供の頃は手伝うのが当たり前、時には苦痛に感じることもありました。
転機は中学生の時でした。父に連れられて初めて訪れた畳表の産地。そこで目にした職人たちの技術と情熱、そして美しい畳表に、私は心を奪われました。
「この世界をもっと知りたい」
その想いが、私の人生を決定づけたのです。
埼玉県畳高等職業訓練校での3年間
その後、私は埼玉県畳高等職業訓練校に入学しました。近所のおばさんから「頑張ってきなさいね」と声をかけられた時、その期待に応えたいという強い想いが込み上げました。
訓練校では、全国から集まった若手畳職人の卵たちとの出会いがありました。みんな同じ志を持ち、真剣に技術を学ぶ仲間たち。この時の出会いが、後に私の人生を支える大きな財産となることを、当時の私は知る由もありませんでした。
3年間の努力の結果、卒業時に校長賞を受賞することができました。卒業生の中でたった1人だけが受賞できる、最高の栄誉でした。 「えっ!? やったー!」
受賞が発表された瞬間の喜びは、今でも鮮明に覚えています。3年間頑張った証がもらえた気がして、仕事をするのにも自信がつきました。
熊本で出会った「ひのさらさ」の美しさ
熊本県八代市での産地研修。そこで私は運命的な出会いを果たします。産地問屋で見た「ひのさらさ」の美しさに、文字通り感動で震えました。
「このキレイな畳表をお客様に薦めなくては!」
それまでの私は、誰が作ったかも分からない、値段だけで選んだ商品を販売していました。しかし、この瞬間、すべてが変わりました。生産者の顔が見える、本当に良い品質のものをお客様に届けたい。その想いが、私の中で確固たるものとなったのです。
この体験以降、私は高単価な商品でも自信を持ってお勧めできるようになりました。値段ではなく、価値を伝える。これが私の商売の原点となりました。
手作り広告への挑戦
家業を継いで順調に見えた日々でしたが、徐々に仕事量が減少。下請けだけでは、いつか切られたら終わりだという危機感を持つようになりました。
そんな時、家族に新聞折込チラシの提案をしました。しかし、返ってきたのは予想外の言葉でした。
「うちはそんなの出さなくてもいいでしょう」
「日本人だから畳は無くならないよ」
親の言葉に愕然としました。しかし、そんな魔法の言葉は信じられない。訓練校の先輩からアドバイスを受け、手作りの広告を作ることにしました。
何も分からず作った広告でしたが、「どうやったらお客さんは喜んでくれるか」を考えながら作る時間は、意外にも楽しいものでした。
そして迎えた新聞折込の日。手作りの広告が新聞に入れられて届いた時、思わずニコッとしました。
その後、電話が鳴り始めました。数日の間に20件近くの注文!あんな手作りの広告を見て電話をしてもらえることに、嬉しさが爆発しました。
人生最大の試練 - 全てを失った火事
7年前のあの日のことは、今でも鮮明に覚えています。工場から出火し、みるみるうちに炎が広がって、家も工場も全てが燃え尽きてしまいました。
「明日からどうしよう」
呆然と立ち尽くす私の頭には、絶望的な思いしかありませんでした。長年積み上げてきた全てが、目の前で無くなってしまったのです。
でも、その絶望の中でも、最後まで手放さなかったものがありました。それは「明日への希望」でした。どんなに辛くても、何とかなる。そう信じ続けました。
奇跡の復活 - 全国からの温かい支援
火事の翌日から、信じられないことが起こり始めました。全国の畳屋仲間から、次々と支援の申し出が届いたのです。
機械や道具を譲ってくれる人、材料を提供してくれる人、技術指導をしてくれる人。作業場を提供してもらった工務店さん。
研修会や埼玉の訓練校で出会った仲間たちを中心に、日本中の畳職人が手を差し伸べてくれました。
「仕事が普通にできることへの ありがたさ」
火事から約1ヶ月で、私たちは営業を再開することができました。あの時ほど、人とのつながりの大切さ、そして普通に仕事ができることの有り難さを実感したことはありません。
「相談できる畳屋さん」への変身
火事を経験して気づいたことがあります。それは、お客様が本当に求めているのは、単なる商品ではなく「困りごとを聞いてくれる人」だということでした。
「どこに頼んでいいか分からない家のこと」
「汚れた畳の替え時が分からない」
「障子や襖も一緒にきれいにしたい」
忙しいけれど家をキレイにしたいと思っているお客様の手が回らない部分を、私たちがお手伝いする。それが私たちの使命だと確信しました。
現在は従業員も1人雇用し、仕事についてや畳表についてのブログなどで定期的な発信も行っています。「困ったらとりあえず電話してみよう!」と思ってもらえる存在でありたいと思っています。
産地とのつながりを大切に
熊本での「ひのさらさ」体験以降、私は産地との顔の見える付き合いを大切にしてきました。生産者さんと直接お話しし、土づくりからこだわる姿勢を間近で見てきました。
い草の刈り取り研修にも参加し、大変な労力を実際に体験しました。だからこそ、お客様に自信を持って商品の価値をお伝えできるのです。
良い品質のものを知らずに普及品や工業製品を使うお客様を見ていると、本当にもったいないと感じます。日本独自の技術が無くなってしまう危機感もあります。
私たちが取り扱っている商品の本当の価値を、一人でも多くのお客様に伝えたい。
それが私の使命です。
5人の子供を持つ父として
プライベートでは、母と妻、そして5人の子供に囲まれた賑やかな毎日を送っています。和風文化を大切にする一方で、実はアメカジも大好きという意外な一面もあります。
商工会活動にも積極的に参加し、地域のつながりも大切にしています。「なんでも食べられる」という特技もあり、どこでも誰とでも仲良くなれるのが私の強みです。
未来への想い - 次世代に残したいもの
現在の目標は、5年後に売上を今の倍にすること。そして従業員もあと数名増やし、新しい作業場を確保したいと考えています。
男性だけでなく女性の従業員にも来てもらい、今までとは違った視点から、畳だけでなく新しい事業にもチャレンジしたい。和風文化を発信できる畳屋さんとして進化し続けたいのです。
私がこの世を去った後、「これがおじいちゃんが作った畳だよ」と言われるような、心に残る仕事をしたい。それが私の究極の願いです。
お客様への約束
私がお客様に絶対に約束できることは、「困りごとを聞く」ことです。
過去の経験で学んだことがあります。お客様は何を使えばいいのか分からないまま注文をされることが多い。だから、お客様に合った提案をして、当初の依頼とは違うことになっても、「とても良かった」と喜んでもらえました。
値段だけの説明ではなく、その背景や数年後のことも説明して納得してもらう。これが私たちのスタイルです。
最後に伝えたいこと
あの火事の日、すべてを失ったと思いました。しかし、本当に大切なものは燃えなかった。それは人とのつながりでした。
全国の畳職人仲間が示してくれた温かさ、お客様からいただく「丸山さんに頼んで良かった」という言葉。これらすべてが、私の宝物です。
畳は単なる床材ではありません。日本の文化そのものです。「畳ってこんなに凄かったのか!」と思ってもらえるよう、これからも価値を伝え続けます。
和風文化の見直しが進む時代。洋風文化にとらわれず、本当に良いものは良いと認識してもらえる社会を目指したい。
困った時は、ぜひ一度お電話ください。60年の歴史と、火事を乗り越えた経験、そして全国の仲間とのつながりで、必ずお役に立てるはずです。
畳工房マルヤマ株式会社 代表取締役
丸山幸一
〒381-0023
長野県長野市風間1180
TEL:0210-4153-17
Email: [email protected]
WEB: tatamimaruyama.com
Instagram: tatami_maruyama
創業60年、2代にわたる技術の継承。 畳・襖・障子・網戸・カーテンのことなら、まずはお気軽にご相談ください。
困りごとを聞かせていただき、本当に価値のあるものをご提案いたします。
カエルのマルちゃん。
当社の宣伝部長!
ニコニコして皆様をお出迎えいたします。
イベントにも出かけますのでヨロシクね♪
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